大会長挨拶

第55回長野県理学療法学術大会
大会長 牛山 直子
(JA長野厚生連 富士見高原医療福祉センター 富士見高原病院 理学療法科)


 この度、第55回長野県理学療法学術大会を2026年6月20日(土)、21日(日)の2日間、下諏訪町の下諏訪総合文化センターで開催する運びとなりました。学会の開催形式は、ハイブリッド形式を予定しております。

 日本は世界に先駆けて超高齢化社会という課題に直面しています。超高齢化に伴い疾病構造の変化、社会的孤立、地域の多様化等、患者背景も複雑化しています。このような社会において医療・介護の質の向上と効率化の両立が急務であり、理学療法士のあり方、役割の再考が必要と考えます。再考にあたり、我々の関わりによってどのような結果が導かれているのかを振り返り、課題を見つけ改善していくという思考で臨床と研究を両立していくことが不可欠であると思います。この繰り返しによって患者サービスの向上、理学療法の発展につながっていくものと思います。このような背景から、本学術大会のテーマは「理学療法再考~振り返りからの発展~」としました。

 長野県においては2021年に研究推進部が立ち上がり、長野県の理学療法の発展、高齢者の健康寿命延長をミッションとしたデータベースプロジェクトが他県に先駆けて開始されています。現在は大腿骨近位部骨折、脳卒中のデータベースが運用されており、さらに地域リハ分野のプロジェクトも計画がはじまっています。長野県の複数の病院が参加しレジストリー研究が進んでいる状況です。「臨床でデータをとってもどう利用したらよいかわからない。」、「研究は難しい。」といった声をよく耳にしますが、研究は決して特別なものではなく、臨床データを振り返りながら改善すべき課題をみつける1つの手段です。この学術大会をきっかけに、臨床研究や学会活動が皆様にとってより身近なものとなり、長野県全体の理学療法の質の向上、さらには地域への貢献につながることを願っております。

 本学会は「臨床と研究、個人と集団、理学療法士と地域のつながりをつくる」をコンセプトとし、研究が臨床に根付くこと、会員が県士会の活動を知り、多施設の会員とも交流できる場となること、地域の皆様にも参加していただくことを目標に進めてまいります。主なプログラムは学会のテーマにそって企画しました。市民公開講座は、研究をベースとした活動から地域の健康づくりを提言する近藤克則先生の講演、教育講演は現代の新しいツールを利用して臨床・研究活動を精力的に行っている海津陽一先生の講演を予定しています。また、シンポジウムとしてレジストリー研究の必要性と臨床改善の取り組みについての発表を予定しております。さらに、新企画として後期研修対象者を中心とした症例検討会を開催し、若い皆さんにも積極的に学会参加していただけるように考えています。会場の中には研究相談できる場や、会員が語り合える場を作り交流が進むよう計画したいと思っております。

 諏訪の地で多くの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。